源氏物語
- 鈴木厚本人

- 2014年2月20日
- 読了時間: 3分
更新日:2021年10月7日
源氏物語
昭和の終わり頃、多くの美術学生が海外留学、旅行をしましたが、臆病と無精で家にこもって作品を作ることを選びました。その反動で「俺は飛行機ではなくてタイムマシンで過去に留学だ」と古典文学に親しむようになりました。 その後、古い英文、漢文もかじりましたが、令和の今61歳になっても辛うじて読む習慣が残っているのは日本古文だけです。
震災後、政治や現代史への興味が沸き古文から遠ざかっていたのですが、高校時代の優れた授業で古典への入り口を広げてくださった八幡栄太郎先生が亡くなったこと、また還暦近くの2年ほど前になって今思い出さないともう古文から一生遠ざかるなと思って30代に一度通読した源氏物語を読み始めました。大体1年8ヶ月かかりましたが、現在、光源氏が既に他界している五十四帖のうち四十九帖まで来ました。
写真は赤い方が30代にも読んだ小学館の全集版全6巻、文庫本が今回読んでいる岩波文庫の新版ですが、コロナの影響か全9巻のうち7巻までで刊行がストップしているので、最後に近い現在は本文が文庫版と同じ岩波新大系版と小学館のを適宜行ったり来たりで読んでいます。
小学館の方は本文表記も古典の教科書のような標準的歴史的仮名遣いと思われる整った印象で、室町~江戸時代等の古い注釈は多数引用されているものの、丁寧な多数の注釈と現代語訳で苦労はするかもしれませんが現代人の感覚でほぼ100パーセント理解できるようになっていると言う、ある意味完璧な注釈書と感じています。
に対して、より新しい岩波の二つの本は、底本の当て字、えっとおもうような仮名づかいを多くそのまま再現(適宜仮名を漢字になおしてはありますが)してあり、現代語訳はなく、より原典の息づかい肌触りのようなものに触れられる気がします。 また、複数の学者が帖を分担して注釈に当たっていますが人によりかなりテイストが違う感じがしました。
内容については、まだ読み切ってはいないのですが、ザックリとですが、女はやっぱりイケメン金持ちの男好き、多くの女性はセックス(古文業界用語で実事)そのものは男ほどは好きではないかな。光源氏のようにモテモテで財、権力があり多くの妻妾のいる男でも年取って信頼する妻(紫の上)に先立たれるとボロボロになってしまう、登場人物は10代後半から40くらいまでのの青、壮年中心ですが、夜通し酒飲んだり、語り合ったり、男言い寄り女押し返し体力あるなあ、俺も昔は元気だったよな等々。
政権中枢周りの物語ですが、遠景にではありますが当然のように描かれている世襲政治、情実政治は今もまだ払拭されているとは言えない。権力者の性的放縦は?
文章的には勿論私程度の読解力ですから注釈があっても辞書片手に苦労して読むわけですが、数回行きつ戻りつして読むと意外に軽くスッキリしている文章なのではと多く感じました。ユーモアとリアリティーでお姫様のふっとい二の腕やムダ毛が目に浮かぶようで、国宝
源氏物語絵巻の可愛らしい感じにはどうも私には受け取れませんでした。美術品として源氏物語絵巻は大好きですが。

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